大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

福岡地方裁判所 昭和47年(わ)954号 判決 1973年10月26日

本店所在地

福岡市博多区博多駅東二丁目一八番二号

豊鋼材工業株式会社

右代表者代表取締役

森山満治

本籍

福岡市中央区今川一丁目四八八番地

住居

同区今川一丁目二五番三四号

会社役員

森山満治

法人税法違反被告事件

大正一〇年一二月五日生

検察官藤野千代麿出席

主文

被告人豊鋼材工業株式会社を罰金七〇〇万円に、被告人森山満治を懲役八月に処する。

被告人森山満治に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人豊鋼材工業株式会社(以下単に被告会社という)は、福岡市博多駅東二丁目一八番二号に本店を置き、鋼材の加工、販売等の事業を目的とする資本金三億円の会社であり、被告人森山満治は、同会社の代表取締役として同会社の業務全般を総括しているものであるが、同被告人は被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一、昭和四四年二月一日から昭和四五年一月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が二億八、六七六万一、四七九円で、これに対する正当に納付すべき法人税額が九、一三六万三、六〇〇円であるにもかかわらず、架空仕入の計上、八幡製鉄株式会社(昭和四四年三月三一日新日本製鉄株式会社と商号変更)からの助成金の除外および租税特別措置法第四五条の特別償却額の過大計上などの不正手段により、その所得を秘匿したうえ、昭和四五年三月三一日、同市東区大字馬出千代松原一、一三〇番地所在の所轄博多税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二億一、三二三万一、〇六二円で、法人税額が六、五六二万八、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右差額法人税二、五七三万五、五〇〇円を免れ、

第二、昭和四五年二月一日から昭和四六年一月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一億九、九〇〇万八、三五八円、これに対する正当に納付すべき法人税額が六、〇九三万七、五〇〇円であるにもかかわらず、前同様の不正手段により、その所得を秘匿したうえ、昭和四六年三月三一日、前記博多税務署において、同税務署長に対し、右事業年度における所得金額が一億八、〇二五万九、七八三円で、これに対する法人税額は五、四〇四万七、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右差額法人税六八九万〇、三〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実につき

一、第一回公判調書中の被告人森山満治の供述部分(被告会社の代表者としての資格を含む)

一、被告人森山満治の検察官に対する供述調書(同右)

一、被告人森山満治の収税官吏に対する質問てんまつ書四通(同右)

一、被告人森山満治作成の上申書

一、森天地人、大野常利、斉藤泰治、松本健児、田代精作、安部恵三(三通)、日隈保丸(二通)、山田一志、浅野定敏、上田敏、塚本一雄、熊谷藤男、徳永正司、地頭所洋一、芳賀四郎(二通)、森田菊市、矢野幸盛、河北貞一、野田和昭、甲賀宗雄、天坊泰彦(二通)、安田晴男、富永利信(二通)、島崎洋、基敏紀、森山登、横田寛、橋本奈良行、佐々木健介、佐々木敏一(二通)、林隆男、江本桂(二通)、岡本清一、森山一登、福本秀雄、中牟田忠、十川健爾、植木隆春、酒見竹一、安倍政人の収税官吏に対する各質問てんまつ書

一、被告会社代表取締役森山満治作成名義の上申書八通(河北貞一、新野州彦、矢野幸盛(二通)、徳永正司、森天地人(二通)、安部恵三各作成のもの)および確認書四通(森天地人(二通)、安部恵三各作成のもの)

一、被告会社安部恵三、河北貞一、新野州彦、矢野幸盛各作成の上申書

一、新日本製鉄株式会社西信美作成の証明書

一、入丸産業株式会社福岡支店石田忠男、同会社八幡支店斉藤泰治各作成の上申書

一、新日本製鉄株式会社高橋真二郎作成の証明書および同会社塩川佳司作成の上申書

一、宮崎豊鋼材工業株式会社富永利信作成の上申書二通

一、三菱商事株式会社八幡支店大野常利作成の上申書

一、株式会社三菱銀行福岡支店工藤進一作成(名義)の証明書二通

一、有限会社豊建鋼業熊谷藤男作成名義の上申書二通(西脇二三子各作成のもの)

一、豊鉄工業地頭所洋一作成の上申書

一、株式会社正金相互銀行堅粕支店樺島信一郎作成の証明書二通

一、司法書士柴田英幸作成の支払証明書

一、宮崎豊鋼材株式会社倉永利信作成の上申書

一、株式会社福岡銀行比恵支店原田治作成の証明書二通

一、株式会社三井銀行福岡支店西脇秀夫作成の証明書

一、株式会社福岡銀行戸畑支店高我修作成の証明書

一、株式会社協和銀行福岡支店新島利文作成の証明書

一、株式会社協和銀行北九州支店足立隆男作成の証明書

一、株式会社三菱銀行長崎支店島本興二作成の証明書

一、江本桂作成の上申書

一、東亜建設株式会社酒見竹一作成の上申書

一、登記官認証の商業登記簿謄本

判示第一の事実につき

一、押収してある事業年度昭和四四年二月~昭和四五年一月の法人税決議書二綴(昭和四八年押第五四号の一および二)

判示第二の事実につき

一、押収してある事業年度昭和四五年二月~昭和四六年の法人税決議書一綴(前同押号の三)

(法令の適用)

被告人森山満治の判示第一および第二の各所為はいずれも法人税法第一五九条第一項、第七四条第一項第二号にそれぞれ該当するので、所定刑中各懲役刑を選択し、以上は刑法第四五条前段の併合罪なので、同法第四七条本文、第一〇条により犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役八月に処し、情状により同法第二五条第一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予し、また判示第一および第二の各所為は被告会社代表者である被告人森山満治が被告会社の業務に関しそれぞれ行なつた違反行為であるから法人税法第一六四条第一項に従い被告会社に対して第一五九条第一項所定の罰金刑を科すべく、右は刑法第四五条前段の併合罪であるから同法第四八条第二項により法人税法第一五九条第一項所定罰金額を合算した金額の範囲内で被告会社を罰金七〇〇万円に処することとする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 池田久次)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例